柔道整復師
鍼灸師
あん摩マッサージ指圧師
柔道整復師の主な施術
鍼灸師の主な施術
あん摩マッサージ指圧師の主な施術
柔道整復師
鍼灸師
あん摩マッサージ指圧師
柔道整復師
鍼灸師
あん摩マッサージ指圧師
柔道整復師
鍼灸師
あん摩マッサージ指圧師
社会的需要
専門職としての高いスキルと信頼
独立開業の可能性
さらなるスキルアップ
柔道整復師:
直近の第32回国家試験(2023年度)では受験者5,027名中3,337名が合格し、合格率66.4%でした。前年(第31回)は49.6%と過去最低水準でしたが、今回は例年並みの水準に戻っています。過去数年の平均合格率は約60%前後で推移しており、試験の難易度は年々高まる傾向にあります。新卒受験者の合格率は高く(例えば第32回は新卒84.0%)、一方で既卒者は約36%と差があることも特徴です。受験者数は2018年度の6,164名から一時減少しましたが、近年は5,000名前後に持ち直しています。
あん摩マッサージ指圧師:
毎年2月に実施される国家試験の合格率は高水準で安定しており、直近の第32回試験(2024年発表)では受験者1,109名中932名が合格し、合格率84.0%でした。過去数年もおおむね84~89%で推移しており、前年(2023年)も88.6%と高い合格率でした。受験者数は長期的には減少傾向で、かつて2,000人超だったものが近年1,100人台まで減っています。高い合格率を維持していますが、これは合格基準が全体の6割正答程度に設定されていることも一因です(直近5年間、必修問題80%以上・一般問題60%以上正答で合格)。難易度自体は比較的安定していますが、毎年合格ラインを確保できるよう十分な学習が必要です。
全体の平均年収:
厚生労働省の統計によれば、柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師を含む施術者の平均年収はおよそ420万~460万円程度です。例えば柔道整復師の全国平均年収は約459.3万円(令和5年度調査)と報告されています。あん摩マッサージ指圧師を含む「その他の保健医療従事者」の平均も同程度で、令和4年調査では443.3万円と算出されています。これは同時期の全職種平均(約374万円)を上回っており、施術業は専門職として一定の水準の収入が得られていることを示します。新人時の年収は約250~300万円台が多い一方、経験を積むと平均で400万円台半ばまで高まります。
勤務先別の収入差:
就業先によって収入には差があり、一般的に個人経営の治療院や接骨院で勤務する場合の年収は約250万~430万円程度、病院・介護施設等に勤務する場合は約220万~350万円程度とされています。訪問マッサージ事業所など在宅ケア分野ではおおむね280万~420万円のレンジが多く、求人情報でも年収200万~400万円前後の募集が中心です。このように病院勤務はやや低め、民間の治療院勤務や訪問分野ではやや高めの傾向があります。また賞与の有無や残業代等で年収は変動します。厚生労働省のデータでも、男性の平均年収が女性より高い(例:あん摩マッサージ指圧師職で男性約437万円・女性約395万円)傾向があり、勤務形態やキャリアによる差異も見られます。
独立開業者の収入傾向:
経験を積み独立開業した場合、収入は経営努力次第でさらに向上する可能性があります。施術家としての技術と経験を重ねれば、雇用される立場でも年収600~700万円程度まで昇給できるケースがあり、開業すればそれ以上の高収入を得ている人もいます。実際、地域差などもありますが、開業施術所の院長クラスでは年収300万円台から800万円超まで幅広いレンジとなっています。特に成功した開業柔道整復師の中には年収1,000万円以上を達成する例も存在します。もっとも開業直後は集客が軌道に乗るまで収入が落ち込むこともあるため、安定収入を得るには経営基盤を築くまでの辛抱と努力が必要です。
求人倍率と求人数:
柔道整復師・マッサージ師業界の求人需要は高く、新卒者にとって売り手市場です。厚生労働省の職業情報サイトによると、柔道整復師の有効求人倍率は2023年時点で約3.6倍と極めて高水準にあります。これは1人の求職者に対し3~4件の求人がある計算で、他のヘルスケア職種と比べても群を抜いています。一方、あん摩マッサージ指圧師などを含む「その他の保健医療従事者」の求人倍率は約1.77倍で平均的な水準ですが、それでも求人数が求職者数を上回っており、概ね就職はしやすい状況です。ハローワーク統計(2021年度)でも柔道整復師の求人倍率は3.31倍と報告されており、慢性的に人材募集が多い職種といえます。実際、業界専門の求人サイトには常時多数の募集が掲載されており、勤務地や待遇を選ばなければ新卒でも就職先に困るケースは少ないようです。
主な就職先と業界動向:
有資格者の活躍の場は幅広く、柔道整復師の場合は接骨院・整骨院が代表的な就職先です。厚生労働省の統計によれば、全国の柔道整復施術所(接骨院・整骨院)は令和4年末時点で50,919か所に上り、2年前より1.1%増加しました。これはコンビニエンスストアの店舗数と並ぶ規模とも言われ、近年も微増傾向にあります。このほか柔道整復師は整形外科など病院のリハビリ科や介護老人保健施設でリハビリスタッフとして勤務したり、スポーツトレーナー・トレーニングジムの施術担当として雇用されたりするケースもあります。実際、柔道整復師の就職先は「整骨院や整形外科だけではなく、病院や介護施設のリハビリ分野でも活躍」しており、最近ではフィットネスクラブやプロスポーツチームと契約してトレーナー活動をする例も増えています。また美容・健康産業とのタイアップで、リラクゼーションサロンや美容系クリニックで技術を提供する道も開かれつつあり、活躍のフィールドは多様化しています。
あん摩マッサージ指圧師の就職先:
マッサージ師の場合も、個人経営の治療院(あん摩マッサージ指圧所)への就職が一般的です。2022年末現在、純粋なあん摩マッサージ指圧所は全国に18,155か所あり、わずかに減少傾向にあるものの依然多数存在します。さらに鍼灸とマッサージを併設した治療院が38,589か所あり、多くのマッサージ有資格者は鍼灸師と協働でこれらの治療院に勤務しています。病院ではリハビリ助手や理学療法士の補助的役割でマッサージ師が配置される例もありますが、医療機関での求人は多くありません。近年注目されるのは訪問マッサージの分野で、高齢者や障害者の在宅ケア需要に伴い、医師の同意のもと在宅患者にマッサージ施術を行う訪問マッサージ事業所が増加しています。この分野では国家資格を持つあん摩マッサージ指圧師が重宝されており、介護施設等と提携して訪問専門で働く道も広がっています。
資格取得後のキャリアパス:
両資格とも、まずは現場で経験を積むことが一般的なキャリアパスです。新卒で就職した場合、整骨院・治療院では先輩の補助をしながら臨床経験を重ね、数年かけて一人前の施術者へ成長していきます。その後は院長職への昇格や、より規模の大きな施設への転職、スポーツトレーナーへの転身などキャリアの選択肢が広がります。特に柔道整復師は、自ら開業権を持つ国家資格であるため、十分な実務経験を積んだ後に独立開業を目指す人が多いです。実際、施術所の開設者(経営者)として独立することは柔道整復師・マッサージ師双方にとって大きな目標であり、将来的に自分の治療院を持つために勤務時代から経営ノウハウを学ぶ人もいます。一方で、現場経験を積む中で接骨院チェーンのマネージャー職や、専門学校の教員・後進の指導者といった道に進むケースもあります。離職率を見ると、新卒3年以内の離職は柔道整復師で約30%とのデータもあり、労働条件のミスマッチで転職する若手もいるようです。ただし全体の離職率は15%程度と極端に高くはなく、多くの有資格者は業界内でキャリアを積み重ねています。資格取得後は、まず臨床スキルを高めて信頼を得ることが重要であり、その上で自分の志向に応じたキャリアパス(開業、自費施術分野への展開、複数資格の併せ持ちなど)を選択すると良いでしょう。
必要な資金:
接骨院・治療院を新規開業するにはおおよそ700万~1,000万円前後の初期資金が必要とされています。規模や立地条件によって幅がありますが、平均的な整骨院では約1,000万円(最低でも700万円程度)の開業費用が目安です。医療専門誌の試算によれば、初期投資が670万~1,220万円、さらに運転資金として約435万円を見込むのが一例とされています。一人で小規模に始める「1人治療院」の場合は800万円程度、スタッフを雇用して開業する場合は1,000万円超の資金が必要とのデータもあります。この費用には物件取得費(保証金・家賃)、内装工事費、施術ベッドや機器類の購入費、開業広告費、開業後数か月分の運転資金などが含まれます。なお、自宅の一室を施術所にする形で開業すれば物件費用を大きく削減できるため、自己資金が少ない場合は自宅開業からスタートする方法も検討されます。日本政策金融公庫など公的融資も活用しつつ、自己資金と借入を組み合わせて必要資金を調達するのが一般的です。
開業に必要な手続き:
国家資格を取得していれば、法律上は届出を行うことで誰でも施術所を開設できます。ただし開業施術所の「施術管理者」になるための要件を満たす必要があります。具体的には、厚生労働省の定める施術管理者研修を修了するか、国家資格取得後実務経験3年以上を積むことで初めて自身の施術所の管理者となれます。準備段階では以下の流れで進めます:
施術所開設時の主な提出書類は「施術所開設届」(保健所への届出)で、これには施術所の平面図や施術者免許証の写し、案内図などを添付します。加えて税務署へ開業届を提出し、都道府県税事務所へ事業開始等申告書、消防署へ防火管理関連の届出も必要です。健康保険の療養費を扱う場合は受領委任制度の契約を結ぶことで、患者さんの保険適用分を保険者から代理受領できるようになります。これらの行政手続きを経て晴れて開業となり、開業後は全国健康保険協会等への療養費請求(レセプト)業務も発生します。
開業成功のポイント:
治療院乱立の時代に開業を軌道に乗せるには、施術の腕前だけでなく経営者としての戦略が重要です。業界の専門メディアでは、独立開業を成功させるためのポイントとして次の5つが挙げられています。
これらを実践しつつ、地域ニーズに合った差別化(例えばスポーツ障害に強い治療院、女性向けの美容メニュー併設等)を図ることも成功率を高めるポイントです。
開業者の実例:
厚生労働省や業界団体から個別の開業者データは公表されていませんが、ケーススタディとしていくつか傾向が知られています。一人治療院の場合、開業から軌道に乗るまで平均3年程かかると言われ、その間は地域に根ざした地道な営業と口コミづくりが重要になります。また、整骨院チェーンに勤務後に独立したケースでは、勤務時代に培った経営ノウハウや患者ネットワークが成功に寄与する例がみられます。実際に、地方で一人開業した柔道整復師が地元スポーツ団体との連携で集客に成功したり、複数資格を持つ施術者が統合ケアを売りにして患者層を広げたりといった成功事例があります。特筆すべきは、前述のように独立開業によって年収1,000万円以上を達成する柔道整復師も存在することです。例えば、整骨院激戦区である都市部でも独自の自費メニュー開発とWeb集客によって高収益を上げている院長もおり、成功者に共通するのは上記のポイントを押さえた努力と工夫です。また、開業に失敗し廃業する例もゼロではないため、事前の市場調査や資金計画、他院との差別化戦略を十分に練ることが肝要です。公的機関である日本政策金融公庫のレポートでも、施術所数が増加する中で経営環境は厳しくなりつつあるものの、「高齢化に伴い施術ニーズ自体は底堅い」と分析されています。したがって、地域医療・介護と連携しつつ信頼される治療院づくりを行えば、長期的に安定経営を実現できるでしょう。開業後も最新の知識研修や経営セミナーへの参加など自己研鑽を続け、地域住民に愛される施術所を目指すことが成功への近道です。
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